『法廷のドラゴン』第5話では、老舗和菓子店「雁湖庵」の一徹餅を巡る裁判が描かれました。
伝統を守る父と、新しい時代に適応しようとする息子の葛藤が、法廷の戦いと将棋の対局に見事に重ね合わされています。
将棋の対局では、「銀冠穴熊」に対抗する逆転の一手として「角成らず」が指され、裁判では「求肥の製法の違い」が決定的な証拠となりました。
本記事では、第5話のあらすじを振り返りながら、「角成らず」と裁判戦略の共通点、そしてこのエピソードから学べる教訓について詳しく解説します。
- 『法廷のドラゴン』第5話「角成らず」のあらすじと裁判の展開
- 将棋の「角成らず」と裁判戦略の共通点と逆転の本質
- 父を超えようとせず、自分の道を進むことの大切さ
『法廷のドラゴン』第5話のあらすじ
1. 人気の和菓子「一徹餅」を巡る訴訟が勃発
将棋界で人気の和菓子「一徹餅」を巡る訴訟が起こる。
老舗和菓子店「雁湖庵」の店主・熊倉秀和(角野卓造)は、「クイーンマルシェで販売された一徹餅はまがい物だ!」と怒り、ネットに書き込む。
しかし、それが契約違反とみなされ、逆に雁湖庵が訴えられる事態に発展する。
この裁判に興味津々の天童竜美(上白石萌音)は、弁護を引き受けることに。
2. 父と息子の確執—“成り金”と罵る父、父を毛嫌いする息子
鍵を握るのは、クイーンマルシェ側の社員である熊倉和輝(草川拓弥)。
彼は雁湖庵の息子でありながら家業を継がず、通販会社でのビジネスに力を注いでいた。
「成り金になりやがって!」と罵る父・秀和。
しかし、和輝もある理由から父を毛嫌いし、親子の間には深い溝ができていた。
3. 竜美の法廷戦略—“成り金”を試す
裁判では、竜美が驚きの法廷戦略を繰り広げる。
まず、「一徹餅の味の違い」を証明するために、3種類の食べ比べを実施。
証人として登場したのは、入院中の熊倉柚子(かとうかず子)。
試された3種類は、
- 雁湖庵の伝統製法で作られた一徹餅
- クイーンマルシェで販売されている一徹餅
- 雁湖庵のレシピを変えて、美鈴(大後寿々花)が作った一徹餅
柚子は雁湖庵の一徹餅だけが本物の味だと見抜く。
4. 和輝の証言 — 「角成らず」が示す逆転の一手
次に、被告側の証人として熊倉和輝(草川拓弥)が召喚される。
竜美は彼に対し、求肥の製法について問いただす。
「このことが何を示すのか答えてください。求肥を練り上げる時間は何分だったんですか?」
和輝は、社長・加賀(矢崎広)の圧力に屈し、クイーンマルシェの製造過程で求肥にかける時間を短縮した過去があった。
証言を拒むこともできたが、和輝は正直に「蒸練機で30分です」と証言。
これは、将棋で「角成らず」を指すのと同じ意味を持つ。
通常なら角を成るのがセオリーだが、あえて成らずに指すことで戦局を逆転させる。
和輝の証言は、まさにその「角成らず」の一手だった。
5. 和解成立、そして父と息子の誤解が解ける
和輝の証言が決定打となり、裁判は雁湖庵側に有利に進む。
クイーンマルシェは不利な状況に追い込まれ、和解を申し出ることで決着。
裁判後、和輝は父へのわだかまりが解ける。
「親父はいつだって職人ぶって、肝心なことを言わないんだから…」
本心を隠していたのは、和輝も同じだった。
「雁湖庵と縁を切り、成金になっていたなら、証言は拒否できた。でも正直に話してくれた」
和輝は、家業を支えるためにネット販売を活用する道を選ぶことを決意する。
6. 歩田虎太郎の気づき — 「歩は歩の良さがある」
裁判後、歩田虎太郎(高杉真宙)は、自分の考え方が変わったことに気づく。
「親父を超えなきゃって思っていたけど、焦らずに自分の目指す弁護士になればいいんだ」
これは、将棋の「歩」がと金になることで強くなるように、虎太郎自身も父を超えることより、自分の道を進むことが大切だと理解した瞬間だった。
7. 竜美の親友・駒木兎羽(白石麻衣)の伏線
竜美の自宅へ送っていった虎太郎は、竜美の両親と話す。
そこで、竜美の親友であり、奨励会の同期でもある駒木兎羽(白石麻衣)の存在を知る。
母親の口から出た衝撃的な言葉——
「竜美が彼女から将棋を奪ったの」
果たして、竜美と兎羽の間にはどんな過去があったのか?
次回、二人の関係が明らかになっていく。
『法廷のドラゴン』第5話「角成らず」とは?
『法廷のドラゴン』第5話では、将棋の一手「角成らず」が重要なテーマとして描かれました。
通常、将棋では角を敵陣に進める際に成る(角成り)のが一般的です。
成ることで、角は「馬」に変わり、より自由度の高い動きを獲得します。
しかし、本作ではあえて「角成らず」という選択がなされ、それが裁判の展開ともリンクしていました。
「角成らず」が選ばれる理由とは?
「角成らず」は、実戦では非常に珍しい手ですが、次のような理由で指されることがあります。
- 打ち歩詰めを回避するため
– 将棋には「打ち歩詰め禁止」というルールがあり、歩を打って相手玉を詰ませることができない状況があります。
– その場合、角を成ってしまうと相手玉の逃げ道を塞ぎ、詰ませる手段がなくなるため、あえて「角成らず」を選ぶことがあります。 - 王手の角をあえて成らず、相手に逃げ道を作る
– 角が成ると移動範囲が広がるが、逆に相手の王が逃げられなくなることもある。
– それを避けるため、あえて成らずに進めることで、より有利な展開を作ることができる場合がある。
このように、「角成らず」は一見不利に見えるが、戦局全体を考えると逆転につながることがあるのです。
『角成らず』と『求肥の違い』が示す逆転の本質
『法廷のドラゴン』第5話では、小さな選択が大きな逆転を生む瞬間が描かれました。
それが、将棋の「角成らず」と、裁判で明らかになった「求肥の違い」です。
どちらも、目の前の状況だけを見れば些細なことのように思えます。
しかし、最終的には勝敗を左右する決定的な要素になりました。
「角成らず」が意味する勝負の分かれ道
将棋において「角成らず」は、単に成らないという選択ではありません。
それは、「今すぐ強くなる」道を選ばず、局面全体を見て最善の手を指すという戦略です。
今回のドラマでは、この一手が「和輝の証言」と重なっていました。
彼は証言を拒否することもできましたが、あえて真実を語ることで状況をひっくり返す一手を打ちました。
「求肥の違い」が生んだ決定的な証拠
裁判では、一徹餅の微妙な味の違いが争点となりました。
この違いが何によるものなのか——その答えが「求肥を作る時間の違い」でした。
長時間かけて練ることで生まれる食感や風味は、短縮製法では再現できない。
この違いを見抜いたことで、クイーンマルシェの一徹餅が本物ではないと証明され、裁判の流れが決まったのです。
細部にこそ勝負を決めるカギがある
「角成らず」も「求肥の違い」も、表面上は大きな違いに見えないかもしれません。
しかし、実際には細かい部分こそが勝敗を分ける要素になっています。
目の前の状況だけにとらわれず、本質を見抜く力があれば、逆転の道は開ける。
それこそが、第5話が示した逆転の本質なのです。
第5話の教訓:父を超えなくてもいい
『法廷のドラゴン』第5話では、和輝と父・秀和の確執が大きなテーマとなりました。
和輝は「父のような職人にはなれない」という思いから家業を継がず、ビジネスの道へ進みました。
一方の秀和は、息子が家業を捨てたことを「成り金になった」と責める。
しかし、裁判を通じて二人の誤解が解けたことで、和輝は「父を超えようとするのではなく、自分の道を歩むことが大切」だと気づきます。
「歩は歩の良さがある」— 和輝と虎太郎の成長
和輝の心境の変化は、もう一人の登場人物、歩田虎太郎の成長とも重なります。
虎太郎はこれまで、偉大な弁護士だった先代所長の影に苦しんでいました。
「親父を超えなきゃ」と焦る和輝と同じく、虎太郎もまた「超える」ことにとらわれていたのです。
しかし、竜美の言葉によって、虎太郎は「自分は自分の目指す弁護士になればいい」と気づきます。
これは、将棋の「歩」にも通じる考え方です。
「歩」は敵陣に入ると「と金」になり、強くなる駒ですが、「歩」には「歩」ならではの価値があります。
和輝も虎太郎も、父を超えることがすべてではなく、自分らしい道を見つけることこそ大切だと学んだのです。
「父を超える」のではなく、「父とは違う道を進む」
裁判後、和輝は「店に戻りたい」と父に申し出ます。
しかし、それは「職人として父を超えたい」という意味ではありません。
和輝は自分にできる形で家業を支えることを決意しました。
和菓子作りは父と妹に任せ、自分は販売戦略を担当する。
ネット販売のアイデアを取り入れ、伝統を守りながらも時代に合った方法で店を発展させることを選びます。
これこそが、彼なりの「雁湖庵を継ぐ」という答えでした。
焦らず、自分の道を進めばいい
和輝も虎太郎も、共に「父のようにはなれない」という悩みを抱えていました。
しかし、それは「父とは違う形で輝ける」ということでもあります。
大切なのは、誰かを超えることではなく、自分らしい道を見つけること。
『法廷のドラゴン』第5話は、「焦らずに、自分のペースで進めばいい」というメッセージを伝えてくれました。
『法廷のドラゴン』第5話『角成らず』が示す人生の戦略
『法廷のドラゴン』第5話では、将棋の「角成らず」という一手が象徴的に描かれました。
この選択は、目先の利益ではなく、長期的な勝負を見据えた決断を意味します。
そして、それは単なる将棋の戦略ではなく、人生においても大切な考え方を示唆していました。
常識にとらわれず、自分にとっての最善手を選ぶ
将棋の定石では、角を敵陣に進めた際には「成る」のが基本です。
しかし、時にはあえて「成らず」にすることで、より良い局面を作り出せることがあります。
これは、人生においても同じことが言えます。
「こうするのが普通」という固定観念にとらわれるのではなく、
「今の自分にとって、どの選択が本当に最善か」を考えることが重要なのです。
リスクを取る勇気が逆転を生む
和輝は、裁判で証言を拒否する選択肢もありました。
しかし、彼は勇気を持って「蒸練機で30分です」と証言しました。
その結果、裁判の流れは大きく変わり、クイーンマルシェの一徹餅が本物ではないことが証明されました。
一見リスクのある決断でも、それが長期的な成功につながることがあるのです。
勝負どころでの決断力の重要性
将棋でも人生でも、どの場面でどう動くかが勝敗を決めることがあります。
「角成らず」の選択が局面を好転させるように、
「このタイミングで行動する」という決断が、大きな成功を生むこともあるのです。
和輝の証言も、まさに「ここぞ」という場面での決断でした。
人生の戦略としての「角成らず」
第5話は、単なる法廷ドラマではなく、人生における選択と戦略の大切さを教えてくれるエピソードでした。
時には「成る」のではなく、あえて「成らず」に進むことで、未来が開けることもある。
それが、『法廷のドラゴン』第5話が示した人生の戦略だったのではないでしょうか。
次回予告:竜美の親友・兎羽(白石麻衣)の登場
『法廷のドラゴン』第6話では、ついに竜美の親友であり、元奨励会のライバルである駒木兎羽(白石麻衣)が登場します。
彼女はどのような人物なのか、そして物語にどんな影響を与えるのでしょうか?
竜美の過去と兎羽の関係
これまで明かされることのなかった、竜美の将棋時代の過去が、兎羽の登場によって浮かび上がります。
竜美の両親は彼女のことを「竜美が兎羽から将棋を奪った」と語っていました。
一体、それが何を意味するのか?
そして、兎羽はなぜ弁護士ではなく、将棋の道を離れたのか?
兎羽は敵か、それとも味方か?
竜美と兎羽は奨励会時代の親友でありながら、ライバルでもあったことが示唆されています。
久々の再会が二人の関係をどう変えるのか、そして兎羽は竜美に対してどんな思いを抱いているのか。
今後の展開を大きく左右する重要なキャラクターになりそうです。
兎羽がもたらす新たな法廷戦
兎羽は弁護士ではありませんが、次回の裁判に関与する可能性があります。
将棋の知識を生かして、竜美の新たな法廷戦略に影響を与えるのではないかと考えられます。
彼女が登場することで、竜美の成長や新たな挑戦が描かれることは間違いないでしょう。
次回の見どころ
- 竜美と兎羽の再会、二人の過去に秘められた因縁
- 兎羽がなぜ将棋を辞めたのか、その真相が明らかに
- 兎羽の登場が竜美の法廷戦略にどんな影響を与えるのか
第5話では、「角成らず」という将棋の一手が裁判戦略と重なり、重要な意味を持ちました。
次回は、竜美と兎羽の関係が将棋と法廷を結びつける新たな展開を生むのかもしれません。
彼女の登場によって、物語がどう動くのか、次回の放送が楽しみですね!
- 『法廷のドラゴン』第5話では、将棋の「角成らず」と裁判の展開がリンク
- 一徹餅の微妙な味の違いが決定的証拠となり、裁判が逆転
- 和輝の証言が「角成らず」の一手となり、父との確執も解消
- 「父を超える」のではなく、「自分の道を歩む」ことの大切さを描く
- 次回は竜美の親友・兎羽(白石麻衣)が登場し、過去が明かされる
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