『御上先生』第7話では、相対的貧困という大きなテーマのもと、現代日本が直面している複数の社会問題が巧みに描かれました。
特に生理の貧困、ブラックバイト、介護疲れ、後継者不足による黒字倒産など、多くの若者が直面している現実がリアルに表現されています。
また、古代理事長の動きが物語に深みを与え、学校経営と政治の関係を浮き彫りにしました。
この記事では、第7話のあらすじを整理しながら、そこに隠された社会問題と古代理事長の真意について考察します。
- 『御上先生』第7話のあらすじと重要ポイント
- 相対的貧困と裏口入学の関係
- 古代理事長と塚田の策略、学校内部の権力闘争
- 第8話の展開予想と御上の運命
『御上先生』第7話のあらすじ
第7話では、日本の社会問題である相対的貧困、生理の貧困、ブラックバイト、介護疲れといったテーマが絡み合いながら、椎葉春乃の万引き事件をきっかけに学校と社会の歪みが描かれました。
また、物語の裏では塚田と古代理事長の駆け引きが進み、御上先生の立場にも変化が訪れようとしています。
ここでは、物語の流れを解説し、第7話が示した社会の問題と、権力争いの行方を考察します。
1. 椎葉春乃の万引き事件
物語の冒頭、学校にドラッグストアから連絡が入ります。
椎葉春乃(吉柳咲良)が生理用品を万引きしたというのです。
御上(松坂桃李)と是枝(吉岡里帆)が駆けつけると、椎葉は「早く帰らなければならない」と焦った様子を見せます。
理由を尋ねると、彼女は祖父の認知症が進行しており、ヘルパーが帰宅する時間が迫っているため、すぐに戻らなければならないと話します。
万引きしたのは、お金がなくて生理用品を買えなかったから。彼女は日々の介護と学業に追われる中で、ブラックバイトに頼るしかない状況に陥っていました。
2. 椎葉の抱える現実
椎葉の話を聞いた御上は、ドラッグストアで大量の生理用品を購入し、彼女に手渡します。
「これで卒業まで足りる?」という言葉には、教師としての温かさと、日本社会の矛盾を浮き彫りにするメッセージが込められていました。
椎葉の家庭は、かつて和菓子屋を営んでいましたが、祖父の認知症が進行し、祖母も倒れたことで経済的に困窮。
彼女は家計を支えるために複数のアルバイトを掛け持ちし、ついには出会い系サイトのサクラの仕事にも手を出していました。
3. 退学処分の決定
椎葉の万引き事件が学校に報告されると、学年主任の溝端(迫田孝也)は、古代理事長(北村一輝)から「退学にした方がいいのではないか」と暗に示唆されます。
溝端は、塚田(及川光博)と密会していた写真をFAXで送りつけられており、自身の立場が危うくなっていたため、古代の指示には逆らえません。
結果、学校側は椎葉を退学処分にすることを決定しました。
4. 3年2組の生徒たちの行動
御上は教室で「7/7」と黒板に書き、日本の相対的貧困率の高さを生徒たちに説明します。
日本の相対的貧困率はG7で最も高く、6人に1人が貧困状態にあることを伝え、椎葉の問題は個人の責任ではなく、社会全体の問題であると訴えました。
これを受け、3年2組の生徒たちは署名活動を開始。
最終的に学校側は椎葉の退学を撤回し、経済的困難を抱える生徒への支援システムの構築を約束しました。
5. 塚田と古代理事長の駆け引き
物語の終盤、塚田幸村(及川光博)と古代真秀(北村一輝)が電話で話しているシーンが描かれます。
塚田は「御上のクラスの成績が落ちている」ことを理由に、彼を文科省に戻すべきだと提案。
古代は明らかに動揺し、御上をまだ学校に引き止めておきたいと考えている様子を見せます。
すると塚田は、机の上に4つのチョコレートを並べ、御上、槙野恭介(岡田将生)、中岡壮馬(林泰文)、溝端完(迫田孝也)を誰を味方につけるか考えるよう促します。
その後、塚田は1つのチョコレートだけを取り残し、他の3つを弾き飛ばすという行動を取ります。
このシーンは、塚田が御上を利用するか切り捨てるかを見極めていることを示しており、今後の展開に大きな影響を与える伏線となっています。
6. 物語の結末と次回への布石
椎葉の退学は撤回され、生徒たちの団結によって一つの問題は解決したかのように見えました。
しかし、古代理事長と塚田の駆け引きは続いており、御上が学校に留まれるのかどうかが不透明な状態です。
また、裏口入学の疑惑が浮上しており、今後の展開では隠された真実が暴かれる可能性が高まっています。
次回、第8話では御上の文科省復帰問題が本格的に動き出し、神崎の記事など学校の機密をリークしていた人物が明るみになります。
『御上先生』第7話で描かれた社会問題
『御上先生』第7話では、日本社会が抱える相対的貧困を中心に、生理の貧困、ブラックバイト、介護疲れ、後継者不足による黒字倒産といった現実の問題が描かれました。
これらの問題は、ニュースや統計データで語られることは多いものの、日常生活では見えにくい「隠れた貧困」として放置されがちです。
しかし、今回のエピソードでは椎葉春乃の万引き事件を通じて、それらの社会問題が身近なものとして視聴者に突きつけられました。
ここでは、第7話で描かれた社会問題を、それぞれの背景とともに詳しく考察していきます。
相対的貧困とは?絶対的貧困との違い
貧困には大きく分けて「相対的貧困」と「絶対的貧困」の2種類があります。
- 絶対的貧困:生きるために必要な最低限の生活水準(衣食住)が満たされていない状態
- 相対的貧困:その国や地域の生活水準と比較して、大多数の人より貧しい状態
例えば、絶対的貧困の基準は世界銀行が定める「1日2.15ドル未満で生活する状態」とされています。
これは途上国に多く見られ、食料や清潔な水すら確保できず、生命の危機に直面する状況です。
一方、日本を含む先進国で問題視されるのが相対的貧困です。
相対的貧困は、「その国の所得中央値の半分以下の収入で生活する人の割合」で定義され、日本では2021年の貧困線が127万円とされました。
この基準以下の収入で生活している世帯が、日本の15.4%を占めています。
相対的貧困の具体例として、以下のような状況が挙げられます。
- 学費や給食費が払えず、教育機会が制限される
- 冷暖房や冷蔵庫など、基本的な家電が買えない
- 周囲と比較して生活レベルが低く、社会的孤立を感じる
第7話では、椎葉がまさに相対的貧困の状況に陥っていることが描かれていました。
社会問題① 生理の貧困:必要不可欠なものが買えない現実
椎葉春乃が万引きしたのは生理用品でした。
これは、日本でも深刻な社会問題となっている「生理の貧困」を象徴する出来事です。
厚生労働省の調査によると、日本の女性の約1割が「経済的理由で生理用品を購入できなかった経験がある」と回答しています。
生理は女性にとって避けられない生理現象ですが、金銭的な問題で必要なものが手に入らないことは、健康や尊厳にも大きな影響を及ぼします。
また、生理の話題は依然としてタブー視されることが多く、困っていても相談しづらいという現状があります。
第7話では、御上先生が椎葉に大量の生理用品を渡すシーンがありました。
これは単なる支援ではなく、「生理に対する社会の無関心」を示し、問題の可視化を促すシーンとしても機能していました。
社会問題② 相対的貧困とブラックバイト:未成年が危険な仕事に巻き込まれる現実
椎葉は生活費を稼ぐために複数のアルバイトをしていましたが、その中には出会い系サイトのサクラという危険な仕事も含まれていました。
日本では、未成年でもSNSや求人サイトを通じて、容易にブラックバイトに巻き込まれる現実があります。
特に、相対的貧困にある家庭では、「すぐに稼げる仕事」に手を出してしまいがちです。
違法な労働環境や低賃金で搾取されるケースも多く、未成年が犯罪に巻き込まれるリスクも高まります。
椎葉の事例は、貧困による選択肢の少なさが、若者を危険な環境へ追い込むことを示していました。
社会問題③ 介護疲れとヤングケアラー問題:家庭内で支えられない若者たち
椎葉はヤングケアラー(若年介護者)として、認知症の祖父の世話をしながら学校生活を送っていました。
日本では、10代で家族の介護を担うヤングケアラーが増加しており、学業や進学を諦めざるを得ないケースも少なくありません。
厚生労働省の調査によると、日本の中高生の約5%がヤングケアラーであり、その多くが「誰にも相談できない」と感じています。
家族の介護は本来、行政や地域の支援を受けるべきですが、日本の介護制度は「家族が面倒を見る」ことを前提としているため、若者が一人で抱え込んでしまう問題が発生しています。
第7話では、椎葉が「誰にも頼れなかった」と涙を流す場面がありました。
これは、ヤングケアラーが抱える孤独と、社会の無関心を示していたのです。
社会問題④ 後継者不足による黒字倒産:椎葉の家の和菓子屋の危機
椎葉の家では、祖父が経営する和菓子屋が廃業の危機に瀕していました。
祖父が認知症を患い、経営が困難になったことが原因です。
日本では、中小企業や個人商店が後継者不足のため、黒字経営でも廃業せざるを得ないケースが増えています。
中小企業庁のデータによると、2025年までに70歳以上の経営者の約半数が後継者不在の状態になり、約127万社が廃業の危機にあるとされています。
椎葉の家の和菓子屋もこの問題の一例であり、地域の伝統が後継者不足によって失われていく現実を描いていました。
社会問題⑤ 教育格差と貧困の連鎖
貧困の問題は、単なる経済的な困難だけではありません。
教育機会の格差が生じることで、「貧困の連鎖」が発生します。
日本では、低所得家庭の子どもは十分な学習環境を確保できず、高校・大学進学率が低くなりやすいというデータがあります。
椎葉のような状況にある生徒は、アルバイトや家事・介護の負担が増え、学業の優先度が下がる傾向にあります。
こうした教育格差が、将来的に貧困から抜け出す機会を奪うことにつながります。
社会問題を可視化した『御上先生』第7話
第7話では、これらの社会問題が椎葉のエピソードを通じてリアルに描かれました。
視聴者にとって、貧困や介護、ブラックバイトといった問題が決して他人事ではなく、身近なところで起こっていることを考えさせる内容になっていました。
また、御上先生の授業の中で、「7/7」と黒板に書かれ、日本の貧困率がG7で最も高いことが指摘されました。
このシーンは、社会の現実を突きつける象徴的な場面となり、多くの人に衝撃を与えました。
今後の展開では、こうした問題に御上先生や生徒たちがどう向き合っていくのか、さらに注目していきたいところです。
古代理事長の策略とは?
『御上先生』第7話では、椎葉春乃の貧困問題が大きなテーマとなる一方で、学校内部の権力闘争も描かれました。
その中心にいるのが、古代理事長・古代真秀(北村一輝)と文科省の塚田幸村(及川光博)です。
物語の中で、御上と一色(臼田あさ美)の会話を通じて、隣徳学院が裏口入学・不正入学を行っていることが明らかになりました。
古代理事長は、学校の改革を進めながらも、政界との関係を維持しなければならないというジレンマに直面しています。
ここでは、古代理事長の本当の狙いと、彼が抱える問題について詳しく考察していきます。
① 御上のクラスの成績低下…文科省復帰への布石?
第7話では、塚田幸村が「御上のクラスの成績が下がっている」ことを指摘しました。
文科省としては、御上を隣徳学院に留めるよりも、官僚として文科省に復帰させたほうが都合が良いと考えています。
これに対し、古代理事長は明らかに動揺し、御上を引き止めたい意向を示しました。
なぜなら、御上の存在が隣徳学院の改革の象徴となりつつあるからです。
② 裏口入学問題…古代理事長の葛藤
御上と一色先生の会話から、隣徳学院が裏口入学・不正入学を行っていることが明らかになりました。
古代理事長は、塚田から東元官房長官の孫娘を隣徳学院に不正入学させるよう依頼されます。
しかし、古代はその提案に迷いを見せています。
おそらく、隣徳学院の経営が厳しかった時期に、仕方なく不正入学を受け入れ、政治家からの支援を得ていた過去があるのでしょう。
しかし、現在の隣徳学院はブランドとしての地位を確立しつつあり、古代は不正をなくしたいと考えています。
しかし、塚田や中岡壮馬(林泰文)はそれを許さない状況にあります。
③ 冴島の不倫問題が暴露されない理由
また、第7話では冴島(常盤貴子)の不倫問題も話題になりました。
しかし、彼女はその事実を頑なに否定し、真実を語ろうとしません。
その理由として考えられるのは、不倫問題が暴露されることで、不正入学の事実まで明るみに出てしまう可能性があるからです。
つまり、冴島のスキャンダルが表に出ることで、不正入学に関わった生徒や学校関係者に影響を及ぼすことを恐れているのかもしれません。
④ 御上の生徒・千木明も不正入学?
また、御上のクラスの生徒である千木明の親も政治家であることが示唆されました。
彼女も、もしかすると不正入学によって隣徳学院に入学した可能性があります。
しかし、千木明自身はその事実を知らないのかもしれません。
今後、彼女が自分が裏口入学だったと知る展開になれば、物語はさらに深いものになっていくでしょう。
⑤ 古代理事長 vs. 塚田…揺れる決断
第7話の終盤、塚田は古代理事長と電話で話しながら、4つのチョコレートを並べます。
それぞれの包みは、御上、槙野恭介、中岡壮馬、溝端完を象徴していると考えられます。
その後、塚田は1つのチョコレートを残し、他の3つを弾き飛ばしました。
これは、塚田が誰を味方にし、誰を切り捨てるかを決めようとしていることを暗示しています。
また、塚田は古代に対し、「公にされたくなければ、大人しくしておけ」と遠回しに圧力をかけているようにも見えました。
⑥ 『御上先生』第7話が示した教育と政治の関係
第7話では、教育の現場が政治と密接に関わっていることが描かれました。
隣徳学院は、単なる一学校ではなく、文科省や政界ともつながる「権力の縮図」のような存在になっています。
その中で、御上や生徒たちがどのように抗い、変化を起こしていくのかが、今後の展開の重要なポイントとなるでしょう。
次回以降、御上は学校に残るのか、それとも文科省に戻るのか。
そして、古代理事長はどんな決断を下すのか。
第8話以降の展開に注目が集まります。
『御上先生』第7話考察まとめ
第7話では、相対的貧困を軸に、日本社会の問題がリアルに描かれました。
椎葉春乃の万引き事件を通じて、生理の貧困、ブラックバイト、介護疲れといった問題が浮き彫りになり、貧困の連鎖がいかに若者の未来を奪うかが強調されました。
また、裏では隣徳学院の不正入学疑惑が明るみに出つつあり、古代理事長は東元官房長官の孫娘の不正入学を受け入れるかという決断を迫られています。
第8話に向けた注目ポイント
第8話では、御上に文科省への帰還命令が下されます。
3年2組の成績低下を理由に、保護者からの圧力が強まり、彼を学校から追い出そうとする動きが本格化します。
しかし、生徒たちはこれに反発し、御上を救う方法を模索し始めます。
一方、冴島悠子のスキャンダルを追っていた神崎と次元は、ある重要人物にたどり着きます。
さらに、これまで学校の機密情報をリークしていた裏切り者の正体が明らかになり、御上と是枝は決定的な一手を打つことになります。
『御上先生』第7話の意義
第7話は、貧困と教育の不平等、そして権力と教育現場の癒着を鋭く描いた回でした。
今後、御上と生徒たちが隠された不正を暴き、権力とどう戦うのかが最大の見どころとなります。
第8話では、隠された真実がついに明るみに出て、学校を舞台にした最終決戦が幕を開けます。
御上と生徒たちは、不正と戦い抜くことができるのか?
次回の展開に注目です。
- 『御上先生』第7話では相対的貧困と裏口入学の問題が描かれる
- 椎葉春乃の万引きを通じて貧困の現実が浮き彫りに
- 隣徳学院の裏口入学疑惑が明らかになり、古代理事長の葛藤が描かれる
- 文科省の圧力により、御上に帰還命令が下る
- 第8話では御上と生徒たちが権力と対決する展開へ
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