WOWOWオリジナルドラマ『災』第3話では、ショッピングモールで働く女性・崎山伊織の死と、その背後に現れる「あの男」の存在が描かれます。
物語の鍵を握るのは、理髪店で働く男・志村(香川照之)。吃音と足を引きずる特徴的な人物ですが、物語の終盤でその“演技”が崩れた瞬間、視聴者に衝撃が走りました。
さらに第1話に登場した刑事・堂本翠(中村アン)と飯田剛(竹原ピストル)が再登場し、物語が全話を通じてつながっている可能性が浮上。“あの男”は各話ごとに名前も背景も異なりますが、果たして同一人物なのか、それとも“災い”そのものの象徴なのか――。第3話のネタバレあらすじと考察をお届けします。
- WOWOW『災』第3話の詳細な時系列あらすじ
- 志村=あの男説とその不気味な演技の正体
- 刑事再登場と“髪の変形”が示す連続事件のつながり
伊織はなぜ死んだのか?第3話のあらすじと事件の全貌
誰にも届かない出会い──マッチングアプリでの失望
清掃員として静かに暮らしていた崎山伊織は、マッチングアプリで出会った男性と植物園で会う。
しかし、男性は植物に興味があるわけではなく、ただプロフィールを見て合わせただけ。
伊織が「植物が好き」と語る横で、男性はスマホをいじり「何の話でしたっけ?」と返す。
この小さな会話のずれが、伊織の孤独を象徴していた。
職場での小さな接点──皆川との出会い
伊織はショッピングモールでの清掃中、理髪店勤務の皆川慎と出会う。
【藤原季節】
本日22時〜放送です!
WOWOW「連続ドラマW 災」3話に、
ショッピングモールの理髪店で働く理容師 皆川慎役にて出演いたします。是非、ご覧下さいませ。https://t.co/MjkvwPmBD0 pic.twitter.com/KIpiWjPpfv
— OFFICE作 Official (@office_saku) April 20, 2025
喫煙所でゴミの分別を促すと、皆川は素直に従う。
その後、同僚の小木を介して会話が増え、伊織は少しずつ皆川に対して心を開き始める。
皆川は「以前の職場で感情を抑えきれずトラブルを起こした」と語るが、現在は真面目に働いていた。
会話の中で小木が伊織に「皆川が食事に行きたがっている」と伝えると、皆川は嬉しそうな表情を見せた。
不穏な兆し──盗みの告発と職場での対立
伊織は同僚の西浜から、「職場で廃棄品を盗む人がいる」と相談を受ける。
それが評価につながるのかと問われた伊織は、曖昧な返事しかできなかった。
直後、西浜がカートごと倒れ、伊織は慌てて対応するが、声を荒げてしまったことが後に問題となる。
作業終了後、西浜は「あの罵声は屈辱だった」と怒りをぶつける。
伊織は釈明するも、西浜の怒りは収まらず、そのまま立ち去ってしまう。
すれ違うタイミング──待ち合わせの不成立
西浜とのやりとりを引きずったまま、伊織は待ち合わせ場所へと向かう。
しかし、そこに皆川の姿はなかった。
一度は交わされそうになったふたりの距離は、また元に戻ってしまった。
三人の理髪師──志村との不気味な飲み会
伊織との約束が流れた夜、皆川は小木と共に、理髪店の同僚志村を誘って食事に出かける。
志村は「うなぎが苦手」と語り、小木は人相見を持ち出して志村に「前科があるか」問いかける。
小木と皆川は自身も前科者だと明かし、志村を探るが、志村は否定する。
閉店間際、皆川が店員に突如怒鳴り、胸ぐらをつかむなど感情的になる一面を見せる。
志村は困惑した様子で、その様子をじっと見つめていた。
職を失う伊織──新たな孤独の始まり
翌日、伊織は上司から呼び出され、人件費削減を理由に今月で契約終了を告げられる。
伊織は「今日で辞めます」と言い残し、その場を後にした。
職場での人間関係も仕事もすべて失い、伊織は完全な孤立状態に置かれる。
やっと交わった心──皆川との会話と約束
皆川と再会した伊織は、喫煙所で廃棄品を持ち帰ろうとする皆川に注意をする。
しかし皆川は「気にしてない」と微笑み、「遅くなってもいいから会ってほしい」と誘う。
喫茶店での会話で、伊織は「苔が好き」「他人が苦手」と語る。
皆川は「すごくわかる」と共感し、ふたりは静かに心を通わせていった。
翌日、植物園で再び会うことを約束し、伊織はランチを用意すると伝える。
約束の日──それぞれの朝の選択
午前7時9分、皆川は職場で小木が金を盗む現場に遭遇する。
小木から「山分けしよう」と誘われるが、皆川は「今は真っ当に生きたい」と断る。
午前8時55分、伊織はサンドイッチを作り、身支度を整える。
午前9時12分、皆川は志村に誘われ、「一杯飲まないか」と付き合う。
そのまま皆川は飲みに行き、伊織との約束を破ることになる。
誰も来ない植物園──伊織の長い午後
午後0時46分、伊織は植物園に到着。
13時の約束を守り、待ち続けるも、14時を過ぎても皆川は来ない。
15時30分を過ぎても現れず、伊織は作ってきたサンドイッチを一人で食べた。
夜、帰路につく中で伊織は涙を流し、スマホの着信に応答する。
エスカレーター下の悲劇──突然の死
その夜、ショッピングモールのエスカレーター下で伊織の遺体が発見される。
搬送されていく様子を見て、皆川は「なぜだ」と叫ぶ。
捜査の始まり──繋がりゆく1話との線
警察での聴取で、皆川は「昼に会う約束だったが、酒を飲んで寝てしまった」と証言。
刑事・中丸は「伊織の発信履歴が15時台まであった」と告げる。
そこへ堂本翠(中村アン)が現れ、「死亡者の髪に変わった形状があったのは本当か」と確認する。
堂本はこの事件が連続事件に繋がっている可能性があると判断する。
静かに変わる足取り──“志村”の異変
終盤、理髪店の志村が足を引きずって歩いていたはずが、途中で普通に歩き始める。
その様子は、彼が何かを装っていた可能性を示唆し、不穏な空気を残して幕を閉じる。
“志村”の正体とは?足を引きずる演技と偽りの過去
物静かで謎多き理髪師・志村という存在
第3話で登場した志村(香川照之)は、皆川と同じショッピングモール内の理髪店で働く理容師である。
彼は吃音があり、片足を引きずって歩くという明らかな身体的特徴を持ち、口数も少なく控えめな存在として描かれていた。
同僚の小木は、志村について「この店で一番腕がいいかもしれない」「おどおどしているが仕事熱心」と評していた。
この時点で、志村はただの物静かな職人として見られていた。
“うなぎが苦手”と語る志村の違和感
小木と皆川が食事に誘った際、志村は「うなぎは苦手で食べられない」と語っている。
この発言は、第2話で倉本(松田龍平)と“あの男”がうなぎを美味しそうに食べていたシーンを見ていた視聴者にとって、大きな違和感を残すポイントとなった。
さらに、小木が志村の人相を見て「前科があるかもしれない」と疑いをかけると、志村は否定する。
小木と皆川が実は前科者であることを語った上でも、志村は何の過去もないように振る舞い続けた。
飲食店での不自然な沈黙と観察者の姿勢
飲食店でのシーンで、志村は食事の間、ほとんど会話をせず、皆川と小木の会話を静かに見つめているだけだった。
皆川が突然、店員に対して怒りを爆発させ、胸ぐらを掴むというトラブルを起こした際にも、志村は終始無言で見守る。
その態度は、場の空気を読めないのではなく、読んだ上であえて距離を取っているようにも映る。
志村のこの無言の立ち振る舞いは、ただの消極的な人物ではなく、どこか観察者のような冷静さと異質さを感じさせた。
ラストシーン──偽っていた“足取り”の真実
第3話の最後で、志村が足を引きずって歩いていたのが突然、普通の足取りに戻るシーンが描かれる。
これは、彼がこれまで見せていた身体的障害が演技だった可能性を示す決定的な瞬間である。
物理的な変化だけでなく、キャラクターの“正体”や“素性”が完全に虚構だったという印象を視聴者に与える。
彼がなぜそんな演技をしていたのか、目的は何か、過去はどうだったのか、すべてが謎のまま物語は幕を閉じる。
“志村=あの男”は同一人物なのか?シリーズ考察
第1〜3話に登場した“あの男”の職業と背景
第1話から第3話までの『災』では、毎回登場する“あの男”と呼ばれる人物がキーキャラクターとして存在している。
この人物は、土地・職業・名前が毎回異なるにもかかわらず、香川照之が演じる点で共通しており、視聴者の間では同一人物か、象徴的な存在かが議論となっている。
- 第1話:千葉の漁船作業員と塾講師
- 第2話:福岡のトラック運転手
- 第3話:石川の理髪師・志村
いずれの回でも、“あの男”が登場した場所で、人の死や災いが発生しており、その関係性が核心を深めている。
名前が毎回変わる理由と脚本の意図
“あの男”は毎回異なる名前で登場し、背景も設定もバラバラである。
しかし、いずれも自分の過去や私生活を語らず、感情を押し殺したような存在感を放つ。
脚本上の構造として、これは「同一人物が正体を変えながら災いをもたらしている」ことを示唆している可能性が高い。
第3話では足を引きずる“演技”をやめるという決定的な描写があり、視聴者にとって彼の“演出された人物像”が完全に崩れた瞬間でもあった。
人格ではなく“災い”そのものを象徴している可能性
“あの男”が物理的に何かをしたわけではなくとも、彼の周囲では必ず死や不幸が起こる。
そのため彼は、ひとりの人間というよりも「災いそのもの」あるいは「死の象徴」として存在しているようにも見える。
シリーズを通じて、彼の出現シーンやその周辺には視覚的に際立った色彩モチーフが登場している。
特に第3話では黄色の演出が顕著で、理髪店の壁やカーテンなどに黄色が多用されていた。
その一方で、通常は赤であるはずの駐車場のコーンが青に変更されていた点も印象的であり、画面全体にどこか現実からズレた“不穏さ”を漂わせていた。
このような色彩の違和感は、日常に潜む異常の予兆として機能しているとも解釈できる。
“あの男”が何者なのかは依然として不明だが、こうした視覚的演出を通して、彼が災いや死の気配を画面にもたらす存在であることがより鮮明に浮かび上がっている。
刑事・堂本翠と飯田剛の再登場で浮かぶ“連続事件”の線
第1話と第3話が地続きである証拠
第3話の後半、伊織の死をめぐる警察の捜査が進む中で、視聴者にとって大きな転機となる描写があった。
それが、第1話で登場した神奈川県警の刑事・堂本翠(中村アン)と飯田剛(竹原ピストル)が再登場したことである。
これまで『災』は各話ごとに人物や舞台が異なるオムニバス形式を思わせていたが、堂本たちの登場によって、物語が一本の線で繋がっている可能性が明確になった。
第1話で神奈川の不可解な死亡事故を捜査していた彼らが、第3話では石川県のショッピングモールに現れるという流れは、単なる偶然ではなく、連続性のある事件を追っていることを裏付けている。
捜査線上に浮かぶ“髪の毛の変形”という共通点
堂本が刑事・中丸に確認したのは、「死亡者の髪に変わった形状があったという話は本当か?」という一点だった。
この発言により、伊織の死には通常の事故とは異なる不自然な特徴があったことが明らかになる。
この「髪の形状の異変」は、死因をただの転倒や事故ではなく、人為的または異常な何かによって引き起こされた可能性を示している。
堂本の質問は、この現象が複数の現場で確認されていることを意味し、すでに複数の事件を彼らが追っていることを暗示していた。
刑事たちが追う連続殺人事件の正体とは
現時点で堂本たちは、“志村”あるいは“あの男”を明確に容疑者と断定しているわけではない。
しかし、第1話・第2話・第3話と連続して、不可解な死が発生し、その場に毎回“同じ俳優(香川照之)”が演じる男が存在しているという構造が視聴者には見えている。
これに加えて、「髪の変形」という目に見える共通点が各事件に存在するとなれば、一連の事件は表面的には異なるが、根底で繋がっている“連続事件”である可能性が非常に高い。
そして、堂本と飯田がその真相に徐々に迫っていく中で、“あの男”が何者であり、何を目的として災いを呼んでいるのかという最大の謎が明かされていくと予想される。
この第3話は、“人が死ぬ理由”の裏に、見えない連続性が存在することを視聴者に強く印象付けた回であり、シリーズ後半に向けての大きな転換点となった。
WOWOW『災』第3話ネタバレ・考察まとめ
静かに進行する“災い”の形──事件か、必然か
第3話では、人付き合いが苦手で、孤独に生きていた崎山伊織という一人の女性が、人生で初めて他者とのつながりを持とうとする姿が丁寧に描かれました。
その矢先に起きた悲劇的な死は、事故だったのか、他殺だったのかは明かされませんでしたが、そこには確実に“災い”の気配が漂っていました。
視聴者の胸に残るのは、植物園でただ一人、誰も来ないことに気づきながらサンドイッチを頬張る彼女の姿。
そして、ラストに映る足取りを変えた志村の姿です。
“あの男”と連続事件をつなぐ糸
“志村”と名乗るその男は、明らかに何かを偽っていました。
吃音、足の不自由、物静かすぎる態度……そして、ラストで何もなかったように歩き去る姿は、多くの視聴者に強烈な不安を残しました。
そして、堂本翠と飯田剛という刑事コンビの再登場により、『災』は単なるオムニバスではなく、“連続する不可解な死”を追う構成であることが明確になりました。
“髪の毛の変形”というミステリアスな共通点は、その核心へと迫る伏線でもあります。
第4話以降の展開に向けて注目すべきポイント
“あの男”が災いの象徴である可能性、彼を追う刑事たち、そしてそれぞれのエピソードに込められた視覚的な演出。
第3話では、黄色が印象的に使われ、理髪店のインテリアや衣装、そして不自然な青いコーンが視覚的な違和感を醸し出しました。
このような色彩の使い方も、“災い”の訪れを象徴する重要な手がかりかもしれません。
残る3話で、この“あの男”がどのような姿で現れるのか、刑事たちが真実に辿りつくのか、引き続き注視していく必要があるでしょう。
- 伊織と皆川のすれ違いが招く悲劇
- 志村の足を引きずる動きが演技だった事実
- 刑事コンビの再登場で浮かぶ連続殺人の線
- “髪の変形”という不可解な共通点
- 第3話はオムニバスではなく物語が繋がり始める転換点
- 黄色を基調とした色彩演出が醸す不穏な空気
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