『ラストノート』では、一瀬葵(内田有紀)が花の香りを感じられなくなっていることが、物語を動かす重要な設定になっています。
ところが樋口澄晴(寺西拓人)と出会ってから、葵は失ったはずの花の香りを一時的に感じるようになります。
「澄晴といると嗅覚が戻るのはなぜ?」「恋をしたから香りが分かるようになった?」と気になった人もいるのではないでしょうか。
第5話までの描写を見る限り、澄晴自身に葵の嗅覚を治す特別な力があるのではなく、澄晴との関係によって葵の強い感情や記憶が動くことが、香りを感じるきっかけになっていると考えるのが最も自然です。
重要なのは、澄晴と一緒にいるだけでは香りが戻らない場面もあることです。
この記事では、第1話から第5話までの「香った時」と「香らなかった時」を比べながら、劇中で示された心因性の嗅覚障害、ピオニー、葵の過去、そして『ラストノート』というタイトルとの関係を考察します。
- 葵が澄晴と関わる時に花の香りを感じる理由
- 澄晴と一緒でも香りを感じない場面がある意味
- 心因性の嗅覚障害とピオニー、葵の感情との関係
葵が澄晴といる時だけ花の香りを感じるのはなぜ?
第5話までの情報から考えると、答えはかなり絞れます。
葵が花の香りを感じるのは「澄晴が近くにいるから」ではなく、澄晴との関わりによって葵の記憶や感情が強く刺激されるからと考えられます。
劇中では、葵の嗅覚障害が心因性である可能性が示され、医師からも記憶や感情と結びついて香りが思い出される場合があると説明されています。
つまり『ラストノート』が描いているのは、「好きな男性の近くに行けば突然病気が治る」という単純な設定ではなさそうです。
むしろ澄晴との出会いによって、葵が長い間押し込めてきた感情が再び動き出し、その変化が「花の香り」として表現されていると見る方が物語全体とつながります。
第1話でピオニーの香りを感じたのに家では香らなかった
この考察で最も重要なのが、最初に香りを感じたピオニーです。
第1話終盤、葵は澄晴から一輪のピオニーを渡され、それまで失っていた花の香りを感じて涙を流します。
ところが、その花を家へ持ち帰ってもう一度顔を近づけても、香りは感じませんでした。
同じピオニーなのに香った時と香らなかった時があるため、花そのものが嗅覚を戻したとは考えにくいことが分かります。
重要なのはピオニーではなく「その瞬間」だった?
最初に香りを感じた時、葵は澄晴と出会い、それまでの日常にはなかった感情の揺れを経験しています。
その状態で差し出されたピオニーから香りを感じたことを考えると、花の種類よりも、その時に葵の心がどう動いていたのかが重要だった可能性があります。
帰宅して一人になった時には同じ花でも香らなかったことが、その考えを補強しています。
第2話では澄晴と一緒にいても花の香りを感じなかった
さらに重要なのが第2話です。
葵自身も「澄晴の前なら、また香りが分かるかもしれない」と考え、デート中に澄晴を花屋へ誘います。
しかし花に顔を近づけても、第1話のように香りは戻りません。
この場面があるため、「澄晴が隣にいれば嗅覚が戻る」という説明は成立しません。
もし澄晴自身がスイッチなのであれば、花屋でもすぐ香りを感じるはずです。
ところが実際にはそうならなかった。そのため条件は「澄晴の存在」よりも、「澄晴との間で葵の感情が強く動くこと」にあると考える方が自然です。
葵の嗅覚障害が「心因性」と説明されたことが大きなヒント
第2話では、葵が医師から嗅覚について説明を受けています。
劇中では、心因性の嗅覚障害の場合、記憶や感情と結びついて香りを思い出すことがあり、同じ現象が繰り返されるかどうかも重要だとされています。
この記事では実際の嗅覚障害について医学的な診断をするものではありません。
ただ、少なくともドラマ内では「葵の嗅覚と心の状態には関係がある」ことを視聴者へ示す説明として置かれていると考えられます。
葵が失ったのは香りだけではなかった
葵はかつて香りを仕事にしていた人物です。
しかし仕事での挫折や過去への後悔を経験し、現在は大きな変化を求めず、現状を維持するように生きてきました。
公式でも葵は「これ以上、変化もサプライズもいらない」と考えながら日常を送っている人物として紹介されています。
その設定を踏まえると、葵が失った「花の香り」は嗅覚だけを示しているのではなく、人生で何かを強く求めたり、心を大きく動かしたりする力の喪失とも重ねて描かれているように見えます。
第5話で明らかになった過去が「香りと記憶」をさらに強くする
第5話では、葵と澄晴の現在の出会いだけでは説明できなかった過去にも重要な描写が加わります。
終盤の回想では、花束を持っていた過去の葵と高校生だった澄晴が接点を持っていたことが示されました。
澄晴が、葵が落としたピオニーを拾って渡していたのです。
ここでピオニー、澄晴、葵の過去が一つにつながったことで、「香りが記憶や感情と結びついている」という劇中の説明がさらに意味を持ち始めます。
ただし、第5話時点で「昔の澄晴との記憶が直接嗅覚を回復させた」と公式に説明されたわけではありません。
過去の接点がどこまで葵自身の記憶に残っているのかも、現時点では慎重に見る必要があります。
澄晴は葵の嗅覚を治す人ではなく「感情を動かす人」
ここまでの描写を整理すると、澄晴の役割が見えてきます。
澄晴は葵の嗅覚障害を直接治療する人物ではありません。
澄晴は、長い間止まっていた葵の感情や人生を再び動かすきっかけになる人物として描かれていると考えられます。
澄晴と出会ってから、葵は香りを感じるだけでなく、自分でも抑えようとしていた気持ちに向き合うことになります。
第5話では澄晴から葵への思いもはっきり示され、2人の関係は単なる「騙した男と騙された親友の友人」という出発点から大きく変わりました。
「恋をしたから嗅覚が治った」だけでは説明できない
もちろん、澄晴への恋心と香りが連動しているという読み方は自然です。
ただし「恋をしたから嗅覚が治った」とだけ説明すると、第2話で澄晴と一緒にいても花屋では香りを感じなかったことが説明できません。
また葵が抱えているものは恋愛だけではなく、仕事への挫折、過去への後悔、自分の人生を諦めるように生きてきた時間にも関係しています。
そのため、澄晴への恋を含めた「自分の感情をもう一度受け入れ始めたこと」が、香りの変化に関係していると考える方がしっくりきます。
ピオニーは葵と澄晴の関係を可視化する花になっている
『ラストノート』では、数ある花の中でもピオニーが繰り返し登場します。
第1話で澄晴が葵へ渡した花、駅に飾られている絵、そして第5話で判明した過去の接点にもピオニーが関係しています。
このためピオニーは単なる美しい小道具ではなく、葵と澄晴の関係が動く時に現れるモチーフとして見ることができます。
ただし、特定の花言葉が2人の未来をそのまま暗示しているとまでは、現時点では断定できません。
この記事で重要なのは、ピオニーそのものに特殊な力があるのではなく、ピオニーが澄晴との出会い、過去、現在の感情をつなぐ役割を持っているという点です。
『ラストノート』というタイトルも葵の嗅覚とつながっている
作品タイトルの「ラストノート」は、香水が時間とともに変化したあと、最後に肌に残る香りを表す言葉です。
公式では本作について、これまで心の中にしまっていた想いが香る大人の純愛を描く作品だと説明されています。
このテーマを葵に重ねると、花の香りを取り戻していくことは、単に嗅覚が回復する物語だけではないことが分かります。
葵が香りを感じる変化は、押し込めていた気持ちや、諦めたと思っていた人生への思いが再び表に出てくることの象徴でもあるのでしょう。
そして、その感情を動かした相手が澄晴です。
だから「澄晴といる時だけ香る」という現象は、このドラマの恋愛そのものを目に見えない“香り”で表現しているとも考えられます。
嗅覚が戻る展開はご都合主義なのか?
一方で、「好きな人といる時だけ香りが戻るのは都合が良すぎる」と感じる見方もあるでしょう。
確かに医学的な回復としてだけ見ると、恋愛展開のために便利な設定に感じる部分はあります。
ただ『ラストノート』では、澄晴と一緒なら必ず香るわけではありません。
さらに心因性という説明や、記憶・感情とのつながり、過去のピオニーまで段階的に配置されています。
そのため現時点では、「恋をした瞬間に都合よく治った」というより、葵の心の変化を香りによって視覚化ならぬ“嗅覚化”したドラマ上の表現として見る方が、これまでの描写とは整合します。
第5話時点で葵の嗅覚は完全に戻ったの?
第5話時点で、葵の嗅覚が完全に回復したと判断するのはまだ早いです。
これまでの描写では花の香りを感じる瞬間と感じられない瞬間があり、安定して嗅覚が戻った状態とは言えません。
むしろ、葵自身が感情に向き合っていく過程と合わせて、香りも少しずつ変化していく可能性があります。
今後は澄晴の告白を受けたあとに葵が花の香りをどう感じるのか、過去のピオニーとの接点を葵自身がどこまで思い出すのかが大きな確認ポイントになりそうです。
『ラストノート』第5話まとめ
『ラストノート』第5話までを見ると、葵が澄晴と関わる時に花の香りを感じる理由は、「澄晴がそばにいれば嗅覚が治る」という単純なものではありません。
澄晴との関係によって、葵が抑え込んできた強い感情や記憶が動き出すことが、花の香りを感じるきっかけになっていると考えるのが最も自然です。
第1話では澄晴から渡されたピオニーの香りを感じながら、帰宅後は同じ花でも香りませんでした。第2話でも澄晴と花屋にいるだけでは香りは戻っていません。
さらに劇中では心因性の嗅覚障害と記憶・感情との関係が示され、第5話では葵と高校生時代の澄晴、ピオニーをつなぐ過去の接点も明らかになりました。
このため澄晴は、葵の嗅覚を直接治す人物というより、止めていた感情をもう一度動かす人物なのでしょう。
花の香りが完全に戻るのかはまだ分かりませんが、その変化自体が『ラストノート』という作品の「しまっていた想いが再び香る」というテーマにつながっていると考えられます。
- 葵が花の香りを感じるのは、澄晴がそばにいること自体が条件ではない
- 第1話ではピオニーが香ったものの、帰宅後は同じ花でも香らなかった
- 第2話では澄晴と花屋にいても、すぐに香りを感じることはできなかった
- 劇中では心因性の嗅覚障害と記憶・感情との関係が示されている
- 第5話では過去の葵と高校生の澄晴、ピオニーにつながりがあったことが判明した
- 澄晴は嗅覚を直接治す存在ではなく、葵の止まっていた感情を動かす存在と考えられる
- 香りの変化は『ラストノート』の「しまっていた想いが香る」という作品テーマともつながる






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