2025年11月26日放送のフジテレビドラマ『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』(通称『もしがく』)第9話は、まさに“神回”と呼ぶにふさわしい展開でした。
市原隼人演じるトニー安藤の退場シーンは、感情を揺さぶる名場面となり、視聴者の間でも「涙が止まらない」「まさかの展開」と大きな反響を呼んでいます。
さらに、告知なしで登場した小栗旬が若き日の蜷川幸雄を演じたことで、物語は新たな局面へと突入。この記事では、第9話のネタバレあらすじを振り返りしつつ、筆者自身の感想も交えてその魅力を深掘りします。
- 『もしがく』第9話のあらすじと展開の流れ
- トニー退場の背景と劇団員たちの奮闘
- 小栗旬演じる蜷川幸雄の登場が持つ意味
『もしがく』第9話のあらすじ|劇団とトニーの運命が交錯する夜
『もしがく』第9話では、劇団を巻き込むトラブルと、それを乗り越える仲間たちの奮闘が描かれました。
トニーの不在によって舞台が混乱する中、久部や劇団員たちは一丸となって時間を稼ぎ、舞台の火を絶やさぬよう奔走します。
そして、トニーの衝撃的な帰還と別れの決断――さらに小栗旬演じる“蜷川幸雄”の登場が、物語を大きく動かす回となりました。
舞台に穴を空けないために動いた“劇団の覚悟”
第9話冒頭では、WS劇場のオーナー・ジェシー才賀がトニー安藤に闇取引への同行を要求。
反対する久部でしたが、興行成績免除の条件に揺らぎ、トニーは舞台の開演前に劇場を後にします。
久部たちは舞台の開演に向け、トニーの代わりにセリフを補う案や、カットされたシーンの復活など、あらゆる手段で対応を図ります。
即興劇と飛び入り参加でつなぐ舞台
予定されていた舞台がトニー不在で進行不能になる中、俳優たちは引き延ばしを決行。
おばばの復活シーン、是尾の過去セリフを回想に差し込むアイデアなどが次々に試され、フォルモンとパトラの漫才シーンも挿入されました。
客席からはリカの父・江頭論平がセリフを覚えていたことで舞台に飛び入り参加し、なんとか物語の流れを保ち続けます。
トニーの帰還と“芝居”で守った劇団の絆
ついにトニーが登場し、舞台は元の流れに戻ります。
だが、舞台終了後には警察が劇場を訪れ、トニーの身柄を求める騒動に。
元警察官・大瀬の指示で「トニーはストリップ劇場の客」という芝居を全員で演じ、観客の目の前で“演技による引き渡し”が行われました。
恋人・パトラによるビンタと「顔も見たくない」というセリフには、芝居と分かっていても涙を誘う切なさが込められていました。
蜷川幸雄(小栗旬)の登場が久部にもたらした希望
騒動のあと、テンペストを訪れた久部は、店内で待っていた男に声をかけられます。
「君が演出家の? 今日の舞台見させていただきました」と語るその男の名は――蜷川幸雄。
演じるのは小栗旬。これまで語られてきた“憧れの存在”が目の前に現れるという展開に、久部も視聴者も驚愕と感動を隠せませんでした。
第9話の感想|涙と覚醒の連鎖に感動

第9話は、これまでの物語の中でも最も心に残る展開でした。
トニーの別れと、それを支える劇団員たちの行動がとても胸に響き、まるで本物の舞台を観ているような感覚になりました。
虚構と現実が交錯するドラマの構成に強く引き込まれ、思わず涙がこぼれそうになる場面も多かったです。
久部の涙に宿る演出家としての覚悟
久部がロビーで観客の姿を見て涙を流すシーンには、深く心を動かされました。
この場面は、演出家として舞台を最後まで届けるという責任を背負った久部の心情がそのまま表れていたように思います。
「幕が上がったら、どんな状況でもやり切らなければならない」という演劇人の信念が、彼の涙に込められていたと感じました。
芝居で守ったトニーと劇団員の結束
トニーが舞台に戻れないという事態に直面しながらも、劇団員たちは即興で舞台をつなごうと奮闘します。
削除されたシーンの復活や、飛び入り参加、さらにはフォルモンとパトラによる即席の漫才など、舞台を守るためにできることを出し切る姿勢に強く感動しました。
終盤の“ストリップ劇場の芝居”は、痛々しくも演劇の力を感じさせる名場面だったと思います。
芝居で仲間を守るという発想は、ドラマでありながらも演劇の本質を突いており、深い余韻が残りました。
蓬莱のモノローグが胸に刺さる
「誰もが眠れないほどの夢を見た。あのとき叩いた太鼓の音を、生涯忘れないだろう。」
この蓬莱のモノローグは、舞台という空間に全てを懸けた者の魂の叫びとして強く響きました。
私は演劇の世界を志した経験があるわけではありませんが、それでも何かに全力を注いだ記憶や、届かなかった夢への未練がこの言葉に呼び起こされたように感じました。
夢を見たあの日の自分、そして今の日常とのギャップに、ふと立ち止まらされるような感覚がありました。
この一言があったからこそ、第9話は単なる展開の連続ではなく、自分自身の生き方や過去を照らし出す特別な回として記憶に残りました。
期待とのギャップと、俳優陣のサプライズ登場に驚かされる
とは言え、正直に言うと、三谷作品ということで放送前はかなり期待していましたが、ここまでの展開はその期待を大きく超えるほどではなかったというのが率直な感想です。
もちろん、随所に三谷さんらしい演劇愛やユーモアが感じられましたし、第9話は特に構成の妙や登場人物の感情が丁寧に描かれていて見応えがありました。
それでもやはり、三谷作品だからこその“圧倒的な面白さ”を求めてしまっていた自分がいて、少し肩透かしを感じたのも事実です。
一方で、事前告知なしで小栗旬が登場した演出には大きなインパクトがありました。
まさか蜷川幸雄を演じるとは思っておらず、驚かされたと同時に、作品がこれから本格的に動き出す予兆のようにも感じました。
残り2話という短い尺で、どのように物語を締めくくるのか、そして久部たちがどんな未来へ進んでいくのか、改めて興味が湧いてきました。
第10話のあらすじと見どころ|久部が蜷川幸雄と対峙する夜

第10話では、劇団クベの運命を左右する重要な人物が姿を現します。
蜷川幸雄(小栗旬)の登場により、久部の演劇人生に新たな展開が訪れる予感が漂います。
一方で、トニーの逮捕にまつわる音声テープを巡り、劇場を揺るがす決断が迫られます。
伝説の演出家との対話が久部に与える衝撃
「冬物語」の上演を終えた久部がテンペストで出会ったのは、なんと伝説の演出家・蜷川幸雄。
蜷川は久部の演出を高く評価し、「今はがむしゃらに突き進め」と激励の言葉を投げかけます。
憧れの存在から直接言葉を受け取った久部の心に、演劇を続ける意味と使命感が深く刻まれていきます。
劇場存続のカギを握る“音声テープ”の存在
その一方で、久部は支配人・大門と共に、劇場オーナー・ジェシー才賀と向き合います。
トニーが密かに録音していたテープには、取引の証拠となる音声が記録されており、これをどう扱うかが物語の焦点となります。
テープを提出すればオーナーを追い詰められるが、劇場の閉鎖も避けられない――久部の下す決断に注目が集まります。
物語はいよいよ最終章へ、結末への布石が続々と
小栗旬のサプライズ登場が物語を加速させ、残り2話というタイムリミットの中で、あらゆる伏線が動き出します。
久部は劇団を率いて、どこへ向かおうとしているのか。蓬莱や樹里、そしてリカとの関係性にも変化が見られる中、彼の選択が劇団の未来を決めることになります。
次回は、夢と現実のはざまで揺れる若者たちの群像劇が、クライマックスに向けて大きく舵を切る回になりそうです。
『もしがく』第9話まとめ|別れと出会いが交差する、演劇への深いまなざし
『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』第9話は、劇団の存続と仲間の未来を天秤にかけた選択が描かれた、非常に濃密な一話でした。
トニーの決断と別れは、劇団に大きな影を落としながらも、久部の成長や劇団員たちの結束をより強く浮き彫りにしました。
そして、ラストの蜷川幸雄(小栗旬)との出会いは、これまで苦悩し続けてきた久部にとって、一筋の光のような存在だったと感じます。
一方で、視聴者としての視点からは、三谷作品ならではのユーモアや展開の妙が、今ひとつ振り切れていない印象も拭えません。
それでも、予告なしの俳優起用や、舞台愛に満ちた演出には作品としてのこだわりが随所に感じられ、ここからのラスト2話に強い期待が膨らみます。
舞台の裏側を通して、人生そのものを演じるように生きる若者たちの姿に共鳴しながら、最後まで見届けたいと思います。
久部が何を選び、劇団クベがどこへ向かうのか――終幕のその瞬間まで、目が離せません。
- トニー安藤が劇団を去る衝撃の展開
- 舞台を守るために奮闘する劇団員たちの絆
- 久部の涙に込められた演劇人としての覚悟
- 小栗旬がサプライズで蜷川幸雄役として登場
- 蓬莱のモノローグが視聴者の心に深く刺さる
- 三谷作品ならではのリアルとフィクションの交差
- 残り2話でどう物語が収束していくのかに注目




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